研究課題/領域番号 |
10670621
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤井 聡 北海道大学, 医学部, 助手 (90291228)
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研究分担者 |
岩淵 和也 北海道大学, 免疫科学研究所, 助手 (20184898)
小野江 和則 北海道大学, 免疫科学研究所, 教授 (40002117)
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キーワード | 動脈硬化 / 単球 / マクロファージ / マウス / 骨髄移殖 / 骨髄キメラ / 心臓移植 |
研究概要 |
動脈硬化の病態は、変性脂質の沈着した血管組織と、血液細胞・特に単球/Mφ系細胞との間の炎症反応の結果形成される。血液細胞の関与に関しては未解明の点も多い。高脂食負荷マウスでは動脈硬化病巣の進展は系統によって大きく異なり、動脈硬化抵抗性の系統では、遺伝学的解析で、複数の単一遺伝子座Ath1〜Ath8の関与が示唆されている。そのほとんどは同定に至っていない。我々は、動脈硬化病巣進展における骨髄由来細胞の関与を検討するため、高脂食投与でも病巣形成されないSJLあるいはC3H/HeJと、一定の病巣形成を認めるB10.SあるいはB10.BRとの間でMHC適合の組み合わせでallogenic bone marrow chimeraを作成し、一定期間の動脈硬化食投与後、病巣を脂肪染色し定量評価した。SJLをrecipientとした群においては、動脈硬化感受性マウスの血球に置き換わったallogenic chimeraで病巣形成を認め、その程度はdonor stfainであるB10.Sと同等であった。また、B10.Sをrecipientとした群ではSJL由来の血球への置き換わりにより、コントロールにくらべて病巣進展が抑制された。血清脂質値は病巣の変化を規定しておらず、両群では骨髄由来細胞が病巣形成に重要であった。SJLは、未知の単一遺伝子Ath7のため動脈硬化抵抗性であると言われており、以上の結果よりAth7が骨髄由来細胞に関連することが示唆された。一方、HDLコレステロールに関連する既知の動脈硬化抵抗性遺伝子Ath1を持つC3Hをrecipientとする群では、動脈硬化感受性マウス由来の血球を移入しても、病巣形成に対し変化は認めず、宿主側要因が病巣形成に重要であった。現在SJL骨髄由来細胞のなかの、単球・Mφ系細胞がその動脈硬化抵抗性に重要であるとの仮説をたてさらに検討中である。
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