研究課題/領域番号 |
10670628
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
斎藤 崇 秋田大学, 医学部, 助教授 (90178484)
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研究分担者 |
長谷川 仁志 秋田大学, 医学部, 助手 (70301059)
鬼平 聡 秋田大学, 医学部, 助手 (80234334)
阿部 豊彦 秋田大学, 医学部, 講師 (30231963)
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キーワード | 内皮由来過分極因子 / 血管リモデリング / カルシウム活性化カリウムチャンネル |
研究概要 |
1)ラットintermediate conductance型Ca-activated K channel(lmK)の構造配列決定と機能解析 ラットlmKチャンネル遺伝子のfull sequence決定を行った。その結果、本遺伝子のcoding regionは1278塩基対で、翻訳蛋白産物は425アミノ酸からなり、ヒトおよびマウスと塩基配列で88%、95%、アミノ酸配列で各々ほぼ98%の相同性を示した。6個の膜貫通部位を有し、S5とS6間には本チャネルの特異的阻害物質とされるcharybdotoxin感受性aspartate residueが、またcarboxy-terminal側には細胞内カルシウムセンサーの役割を担うcalmodulin-binding domainおよびtyrosin phosphorylation consensus sequenceがあり、前年度の研究結果から予測されていたように細胞増殖刺激によってその発現が調節されることが確実となった。さらに、本遺伝子をHEK細胞に発現させ、その細胞電気生理学的特性の解析を行い、本チャネルは細胞内カルシウム濃度上昇により活性化され、charybdotoxinにより抑制されるなど、これまで生理学的に予測されていたlmKの特性を再現することが確認された。 2)lmKの特異的Riboprobeと特異抗体の作成と組織内局在の確認 病態における発現調節を定量的に観察する目的で、新たにprobeを設計し、RNase protection assay法による確認を行った。その結果、ラットでは脳、心、大動脈、腎、肺、精巣、血球細胞など多くの組織で発現していた。その組織内局在を観察する目的で、心、大動脈組織標本を用いてin situ hybridizationを行い、正常時には血管内皮細胞、平滑筋細胞に限局するが梗塞心モデルでは浸潤単核白血球細胞にも高発現をみることを見いだした。またS3からS4の細胞外epitopeの配列を元にオリゴペプチドを作成し、ウサギを用いて本チャネル蛋白に対する特異抗体を作成して免疫組織染色を同様に行い、in situ hybridizationによるmRNA発現部位と一致することを確認した。 以上の成果は、平成11年3月27日第63回日本循環器学会学術集会におけるシンポジウム「血管リモデリング-From Cells to Patient-」、同年11月American Heart Association年次集会(Atlanta,USA)において発表するとともに、GenBankへの登録を行い(AF 149250)、現在投稿中である。また、後半の部分については平成12年4月、Experimental Biology 2000(San Diego,USA)において発表予定である。
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