研究課題/領域番号 |
10670628
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
斉藤 崇 秋田大学, 医学部, 助教授 (90178484)
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研究分担者 |
長谷川 仁志 秋田大学, 医学部, 助手 (70301059)
鬼平 聡 秋田大学, 医学部, 講師 (80234334)
阿部 豊彦 秋田大学, 医学部, 講師 (30231963)
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キーワード | 内皮由来過分極因子 / 血管リモデリング / カルシウム活性化カリウムチャネル |
研究概要 |
1)ラット梗塞心モデルにおけるimK型KCaチャンネルの発現修飾機序に関する検討 :ラット梗塞心モデルでは細胞浸潤に一致する梗塞作成1〜3日後の初期相と心血管リモデリングをきたす7日後以降の後期相よりなる2相性の発現亢進を示すことが明らかとなったことから、同モデルにおけるimK発現亢進における組織レニンアンギオテンシン系の関与が推測されたため、アンギオテンシンIIのI型受容体の選択的な拮抗薬であるcandesartanを腹腔内へ埋設した浸透圧ミニポンプを用いて長期投与を行い、その影響を観察した。その結果、imK発現は初期相、後期相とも著明に抑制され、本現象に組織レニンアンギオテンシン系の活性化が関与することが明らかとなった。 2)ラットimK型KCaチャンネルの発現誘導の機序に関する検討 :既に本チャネルのcarboxy-terminal側には細胞内カルシウムセンサーの役割を担うcalmodulin-binding domainおよびtyrosin phosphorylation consensus sequenceが存在し、本チャネル活性化に細胞内Ca濃度上昇が関与すること、また細胞増殖シグナルと何らかの関連を有することは推測されていたが、その発現誘導の機序は不明であったところから、同チャネル遺伝子のpromotor領域の解析を行った。その結果、NFkB、heat shock protein、AP2などでregulationされる部位が存在することが明らかとなり、本チャネルの発現調節とその活性化が細胞増殖刺激と密接に関連することが確実となった。 これらの成果は、平成13年3月31日よりアメリカ合衆国フロリダ州オーランドで開催されるExperimental Biology 2001におけるアメリカ生理学会主催の血管系カリウムチャネルに関するシンポジウムにおいて招待講演として発表するとともに、Journal of Clinical and Experimental Pharmacology and Physiologyに公表予定である。今後、動脈硬化、高血圧モデル、糖尿病モデル等におけるlmK発現修飾と、その発現調節の細胞内情報伝達系について検索を行うとともに、ヒト病態でも同様な現象が見られるかについて確認を行う予定である。
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