研究課題/領域番号 |
10670632
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
酒井 哲郎 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40153845)
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研究分担者 |
佐藤 勝重 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (80291342)
佐藤 容子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (70251501)
平野 裕司 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00181181)
神野 耕太郎 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40025630)
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キーワード | 心電活動 / 興奮旋回 / 不整脈 / 膜電位感受性色素 / 光学的測定 |
研究概要 |
膜電位感受性色素を用いた心電活動の光学的多部位同時測定法を用いて、ラット右心房標本に誘発した頻拍様興奮(tachycardia-like excitation)の興奮伝播パターンのマッピングをおこなった。 実験には正常ペースメーカー領域を含むラット右心房展開標本を作成し、merocyanine-rhodanine系膜電位感受性色素NK2761で染色して用いた。筋収縮アーチファクトを抑制のための収縮抑制剤BDM(2.3-butanedionmonoxime,10-20mM)存在下で標本上の128〜1020ヶ所の分画領域から活動電位を同時記録することにより、正常洞調律時および頻拍様興奮時における興奮波伝播のマップを作成した。標本上に置いた双極電極により電気刺激(10-20Hzのtetanus刺激または0.5-1 Hzのpacing)を与え興奮伝播パターンを擾乱して頻拍様興奮を誘発した。頻拍様興奮の持続時間は数100msから数10分と様々であった。この時の興奮伝播パターンは、正常ペースメーカーに支配される洞調律時のものと大きく異なっており、(1)興奮の伝播しないblocked areaの周囲を興奮波がおよそ250〜450msのcycle lengthで旋回する興奮旋回のパターンが最も多くみられた。このblocked areaには、(1)上大静脈孔を含むものと(2)明確な解剖学的構造を持たない二つのタイプがみられた。この他に、(2)一部の標本では異所性ペースメーカーの発現した例や(3)複数の興奮波が共存する複雑なパターンを示する例も見られた。これらの結果から、この実験系が興奮旋回性不整脈のin vitro実験モデルとしてきわめて有効であることが確認され、不整脈発現機構の研究の強力なストラテージとなることが示された。
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