研究課題/領域番号 |
10670637
|
研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
井上 博 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (60151619)
|
研究分担者 |
平井 忠和 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (10303215)
能澤 孝 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (00180737)
|
キーワード | 心筋梗塞 / 心不全 / 交感神経 / 腎臓 / ラット |
研究概要 |
心不全における交感神経系やレニン-アンジオテンシン系の賦活化が心臓の再構築(リモデリング)を助長し、心不全の進展をもたらす。我々の検討においても、心臓交感神経機能の亢進と、それに続く交感神経終末における機能異常が心筋細胞間隙のノルエピネフリン濃度を増加し、β受容体数の低下などの交感神経シグナル伝達における障害をもたらすことが明らかになった(Circulation 1998;97:2359-2367)。 ラット心筋梗塞後心不全においては心臓、腎臓における交感神経活性が亢進し、左室拡張末期圧の上昇と左室拡大が生じ、腎臓におけるナトリウム排泄能の低下が認められた。心筋梗塞の直前に外科的およびフェノール塗布による腎交感神経の除神経をおこなうと、慢性期(4週後)においても腎におけるノルエビネフリンは枯渇し持続的な除神経が確認された。長期間の除神経により尿中ナトリウム排泄が増加し、左室拡張末期圧の低下と左室収縮および拡張能が改善し、心筋梗塞後の左室拡大を有意に抑制した。冠動脈結紮を行わなかったラットにおいては、腎交感神経を除神経しても尿中ナトリウム排泄や左室機能には影響しなかった(Circulation 1998;98:I.553)。以上より、慢性心不全における腎交感神経の賦活化は、少なくとも一部、ナトリウム排泄能の低下を介して左室拡大を伴う心不全の進展に関与すると考えられる。それ故、心不全における賦活化した交感神経活性を長期間抑制することにより、心不全のさらなる進展を抑制できる可能性が示唆される。
|