研究概要 |
(1) Interferon-γ(IFN)ノックアウトマウス(IFN-KO)におけるウィルス心筋炎 IFN-KOにencephalomyocarditis virus(EMCV)を接種して心筋炎を惹起したところ,生存率はwild type(WT)に比べて有意に低下した.また,IFN-KOの心重量と肺重量は有意に増加し,HE染色による組織像では炎症所見の悪化を認めた.免疫染色の所見では誘導型NO合成酵素(iNOS)の発現がIFN-KOにて少なく,浸潤細胞のsubsetには差を認めなかった.以上より,IFNはウィルス心筋炎に対して防御的に働いており,これにiNOSの誘導が関与していることが示された. (2) Tumor necrosis factor α(TNF)ノックアウトマウス(TNF-KO)におけるウィルス心筋炎 EMCV接種後の生存率はWTに比べて有意に低下し,10日以内に全例が死亡した.心筋におけるウイルス力価とRT-PCRでみたウィルスRNA量はTNF-KOにて有意に高値で,ウィルスの排除にTNFが必要と考えられた.一方,HE染色ではTNF-KOにおいて炎症細胞浸潤が少なく,免疫染色ではICAM-1・VCAM-1の発現がTNF-KOにおいて少なかった.iNOSの発現には差を認めなかった.以上より,接着因子の発現と炎症細胞の動員にはTNFが必要で,TNFを欠くと効果的なウィルスの除去ができないことが示された. (1) Interleukin-1β(IL-1)ノックアウトマウス(IL-1-KO)におけるウィルス心筋炎 EMCV接種後の生存率はWTに比べて有意に低下した.また,IL-1-KOの心重量と肺重量は有意に増加し,HE染色による組織像では炎症所見の悪化を認めた.以上より,IL-1はウィルス心筋炎に対して防御的に働いていることが示された.
|