研究課題/領域番号 |
10670642
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
渡邉 裕司 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (50262803)
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研究分担者 |
林 秀晴 光量子医学研究センター, 助教授 (50135258)
寺田 肇 浜松医科大学, 医学部, 助手 (50252177)
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キーワード | ミオシン軽鎖キナーゼ / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素 / 内皮依存性過分極反応 / 内皮依存性血管拡張因子 |
研究概要 |
【目的】血管内皮細胞においてミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)がアゴニスト刺激時およびシェアストレス時に生じる容量依存性Ca^<2+>流入の調節に重要な役割を果たしていることを我々は報告したが、この事実はミオシン軽鎮キナーゼの活性化が平滑筋細胞では血管収縮性に作用するのに対し、内皮細胞では血管拡張性に作用する可能性を示唆している。本研究ではアゴニスト刺激時の内皮依存性NO産生および内皮依存性過分極反応に及ぼすミオシン軽鎖キナーゼの役割について検討した。【方法】内皮依存性NO_2^-/NO_3^-(NOx)産生は培養ブタ大動脈血管内皮細胞をアゴニスト刺激後、培養液中のNOx量をHPLC法により定量した。内皮依存性過分極反応はアセチルコリン(ACh)刺激時のラット腸管膜動脈平滑筋細胞(SMC)の膜電位を微小電極法により測定した。【結果】1)ブラジキニン(10nM)およびサプシガーゲン(1μM)刺激時、内皮細胞によるNOx産生は非刺激時の約1.6倍、約3.2倍にそれぞれ増加したが、MLCK阻害剤であるML-9(100μM)、wortmannin(100μM)の前投与によりNOxの増加はほぼ完全に抑制された。2)SMCの静止膜電位は約-51mVであり、ACh(1μM)投与により約-13mVの過分極を生じたがML-9の前投与により過分極反応は約60%抑制され、wortmanninの前投与では完全に抑制された。【総括】MLCK阻害によりアゴニスト刺激時の内皮依存性NOx産生と過分極反応は抑制された。MLCK活性化は内皮細胞においては血管拡張性に作用し新たな血管調節系となることが示唆された。
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