研究概要 |
慢性心不全の予後に及ぼす長期運動療法と、薬剤(β遮断剤)併用効果の検討 平成10年度は慢性心不全の予後に及ぼす長期運動療法の効果を検討した。結果、心筋症ハムスターBIO14.6をモデルとした慢性心不全において、運動は運動耐用能を改善するものの予後を悪化させることを明らかにした。平成11年度はこの結果を受け慢性心不全の予後に及ぼす長期運動療法と、薬剤(β遮断剤)併用効果の検討を行った。具体的には、心筋症ハムスターBIO14.6 80匹を対象に心不全発症時期にあたる生後30週齢より運動療法を開始した。運動は、小動物用トレッドミルを用いて行っている。最大酸素摂取量の65%に相当する分速10m、8度傾斜、1回25分の運動を週5回行う。このハムスターを無作為に薬剤投薬(metoprolol,1mg/Kg/Day)群、と無投薬群にわけ、運動開始後1,3,6ヶ月に運動耐容能を測定することとした。運動耐容能はトレッドミルの速度を10m/minから始め、1分毎に2.5m/min増加させ、追従できる運動とする。運動療法の終点は、心不全が重症化し運動できない状態になる時点とする。全例が死亡する時点あるいは群間で有意差を認める時点を終点として、群間で予後を比較する。運動開始3ヶ月時点の運動追随速度は投薬群、22.6m/min無投薬群、18.1m/minであり、有意に投薬群の運動耐用能が改善した。平成12年3月まで運動療法は継続し、生命予後が明らかになる予定である。
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