研究課題/領域番号 |
10670652
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 昌司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40283783)
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研究分担者 |
大津 欣也 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20294051)
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80150340)
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キーワード | Mn-SOD / 心筋細胞 / 過酸化水素 / 酸化ストレス / サイトカイン |
研究概要 |
本申請研究においては、心筋細胞のストレス応答の初期過程として、ストレス負荷後における心筋細胞の活性酸素・ラジカル代謝に着目して検討した。初年度に心筋細胞を用いて、TNF-α負荷により心筋細胞内に過酸化水素産生が認められ、産生された過酸化水素が細胞内のMn-SOD蛋白質誘導と相関することを見出した。 本年度は、かかるTNF-αによる心臓における活性酸素産生、Mn-SOD誘導がin vivoにおいても生じるか否かを検討した。ラットのトレッドミル運動負荷モデルを作成すると、心筋組織内のTNF-α、IL-1β濃度が運動直後より上昇した。また、運動負荷48時間後には、心筋組織内のMn-SOD蛋白質量、Mn-SOD活性ともに上昇した。抗TNF-α抗体、抗IL-1β抗体の同時投与により、かかるMn-SOD活性の上昇を抑制することが可能であった。一方、外因性のTNF-α投与によっても、同様にin vivoのラット心においてMn-SOD誘導、活性化を惹起することが可能であった。かかる、運動負荷、TNF-α負荷によるラット心臓におけるMn-SOD誘導・活性化は、メルカプトプロピオニルグリシン投与により抑制することが可能であったことから、心臓における過酸化水素産生が、情報伝達系として介在していることが示唆される。以上の結果は、運動などの物理負荷により心臓においてTNF-α、IL-1βなどのサイトカインが産生され、さらにこれらのサイトカインによる心筋細胞内の活性酸素産生が情報伝達系として作用して、抗酸化酵素Mn-SODの誘導を惹起しているものと考えられる。
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