研究課題/領域番号 |
10670653
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
増山 理 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273670)
|
研究分担者 |
土井 玲子 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
山本 一博 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90303966)
堀 正二 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20124779)
三輪 岳志 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助教授 (20174229)
|
研究期間 (年度) |
1998 – 1999
|
キーワード | 拡張不全 / 高血圧 / 心肥大 / 線維化 / レニン・アンジオテンシン系 |
研究概要 |
我々が確立した現在唯一利用可能なisolated diastolic heart failureモデルを用いて、以下の新しい知見を得た。代償性心肥大期から心不全期への移行において、左室重量および心筋細胞径が増加し、左室の線維化亢進が認められたことから、拡張不全の進行に心肥大および線維化が貢献していると考えられた。心不全期の左室におけるアンジオテンシン変換酵素(ACE)mRNA、エンドセリン1前駆体(ppET1)mRNAをRT-PCR法にて定量化したところ、拡張不全モデルラットではACEmRNA、ppET1mRNAは対照群に比し有意に増加していた。これより、心不全発症にレニン・アンジオテンシン系などの神経体液性因子が関与する可能性が考えられた。そこで、高血圧発症後よりアンジオテンシンII受容体拮抗薬(Candesartan)を投与し、レニン・アンジオテンシン系の拡張不全への関与を検討した。心エコー法により求めた左室重量係数は、代償性肥大期である13週齢では、薬剤投与群とも無投薬群と有意差がなく、左室収縮能および左室流入指標にも差が認められなかった。すなわち、代償性心肥大の形成におけるレニン・アンジオテンシン系の関与は小さいと考えられた。代償性肥大期から心不全期にかけては、薬剤投与により左室重量係数の増加が抑えられた。また、心不全に特徴的な左室流入異常および左室拡張末期圧の上昇は投薬群で認められなかった。19週齢において実測した左室重量係数は投薬群において無投薬群に比し明らかに小さく、線維化の亢進も制御された。以上より、高血圧に伴い心肥大から拡張不全による心不全を呈する系においては、レニン・アンジオテンシン系が過代償の心肥大および線維化を亢進し、拡張不全による心不全発症に関与すると考えられた。
|