研究概要 |
グルココルチコイドが活性酸素産生に及ぼす影響を明らかにするために,ヒト血管内皮細胞(HUVEC,Ce11 System社)およびヒト大動脈血管平滑筋細胞(収縮型及び合成型)を短期間(12-48時間)あるいは長期間(2-3週間)継代しつつグルココルチコイドと共に培養し,活性酸素の産生をelectron spinresonance(ESR)法及びCM-DCF-DA存在下でflow cytometry法により測定した.これまでの検討により,ヒト血管内皮細胞(HUVEC)ではデキサメサゾン10^<-7>Mの条件下の短期間培養において活性酸素の産生亢進が認められた.一方,血管平滑筋細胞では収縮型および合成型のいずれにおいても活性酸素の産生亢進はみられず,グルココルチコイド過剰による血管系での活性酸素の産生亢進は血管内皮細胞が主体であることが示唆された. また,培養血管内皮細胞については,活性酸素産生系の阻害薬であるallopurinol(キサンチンオキシダーゼ系阻害),indomethacin(アラキドン酸代謝系阻害),NDGAおよびquinacrine(NAD(P)Hオキシダーゼ系阻害),あるいはミトコンドリア電子伝達系の阻害薬であるrotenone,antimycinなどを培養系に添加し,グルココルチコイドによる活性酸素産生亢進に及ぼす影響をflow cytometry法を用いて検討している.これまでの成績ではantimycinやallopurinolの培養系への添加により活性酸素産生量が減少することが判明しており,グルココルチコイドによる血管内皮細胞での活性酸素の産生亢進はミトコンドリア電子伝達系とキサンチンオキシダーゼ系が主体であることが示唆された.
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