研究課題/領域番号 |
10670664
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
阪本 整司 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (60253267)
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研究分担者 |
野崎 士郎 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (80243773)
水重 克文 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (90166009)
阪本 晴彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60106549)
千田 彰一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 教授 (30145049)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
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キーワード | 超音波 / 弁膜症 / 組織 / 弾性 / 大動脈弁 / 僧帽弁 / 超音波顕微鏡 / 音速 |
研究概要 |
1. 僧帽弁の局所体積弾性率の検討 高周波超音波顕微鏡を用いて僧帽弁膜組織の音速計測を行うことにより、体積弾性率=密度x(音速)^2に従って組織の弾性率を評価し、僧帽弁組織局所の物理的硬さを評価した。剖検例から採取した、弁疾患をもたない僧帽弁を構成する3層構造はFibrosa、Atrialis、Spongiosaの順に弾性が大きく、また3層全体としてはrough zoneよりもclear zoneで弾性が大きいことが示された。この僧帽弁膜内部の弾性分布は左心内の血流整合に合目的であると考えられた。また加齢による線維化病変では組織弾性が上昇し、硬化するが、粘液腫様変性病変では組織弾性の低下が示され、加齢による弁機能不全の病態の基礎をなすものと考えられた。さらにアミロイド沈着弁では、弁は肥厚するものの、組織弾性は低下し、心アミロイドーシスによる僧帽弁逆流などの弁機能不全の一要因になると考えられた。高周波超音波を用いた弁組織音速計測は、病変部局所の弾性特性評価が可能であるため、弁膜症の病態解釈に臨床的意義が大きいと考えられた。 2. 手術摘出大動脈弁の局所体積弾性率の検討 リウマチ性および加齢による大動脈弁狭窄症患者からの摘出大動脈弁組織では、著明に肥厚した弁組織を構成する線維化病変および石灰化病変部で、組織音速と超音波減衰がともに上昇していることが示され、これら病変部の硬化度が定量的に評価可能であった。また、組織音速と超音波減衰の間には良好な相関が認められたため、弁膜組織の超音波減衰計測に基づく弁膜病変の弾性や硬度評価の可能性が示唆された。今後は、症例を積み重ねて手術前の心臓超音波検査で得られる所見と弁組織の物理特性の関連について更に検討を進める予定である。
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