研究課題/領域番号 |
10670681
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
出口 寛文 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90131341)
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研究分担者 |
浮村 聡 大阪医科大学, 医学部, 助手 (50257862)
北浦 泰 大阪医科大学, 医学部, 助教授 (50084950)
河村 慧四郎 大阪医科大学, 医学部, 教授 (00026832)
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キーワード | コクサッキーウイルス / 心筋炎 / 拡張型心筋症 / トランスジェニックマウス / パーフォリン / 電子顕微鏡 / ウイルス核酸 / リポポリサッカライド |
研究概要 |
Perforinは細胞障害性T細胞などで分泌され、標的細胞を壊死やアポトーシスに導くcytotoxinである。本研究はperforin遺伝子欠損マウス(pfa knockout:KO)にcoxsackievirus B3(CBV)を接種、心筋in situにおける心筋細胞障害を電顕・免疫電顕的に観察し、野性種と比較することによりperforinの意義を検討した。 【方法】KOと野性種(B57BL6マウス:wild)各40匹にLipopolysaccharide(LPS)処置後、CVBを接種した。心筋を第5〜30日に採取した。Flowcytometoryによる検討:血中CD4、8リンパ球数を検索した。半定量評価:光顕で細胞浸潤・心筋壊死の4段階評価を行った。電顕的検索:Immunogold法で抗perforinならびにCBVのcapsid蛋白(VP1)の抗体を用い免疫電顕的検索を行った。 【結果】第9〜14日wildでは散在性の心筋病巣を認める。KOの病変は極めて軽微で、細胞浸潤・壊死の半定量評価でも有意に低値を示す。電顕では、wildは壊死、空胞形成、筋原線維の融解、核変性像が著明である。リンパ球はperforin陽性顆粒を有し心筋細胞に接着する。一方、KOではリンパ球と心筋細胞の接着像を認めるも心筋細胞の変性像は少ない。両群とも心筋細胞形質膜にVP1の発現を認めた。血中CD4、8の数に有意差はなかった。CVB単独接種では心筋炎はごく軽度であった。 【総括】wildに比してKOでは心筋炎は極めて軽微であった。心筋炎の心筋細胞障害は主に細胞障害性リンパ球から放出されたperforinにより生じ、ウイルスの直接侵襲よるものは少ないことが示唆された。また、この系の心筋炎発症はLPS処置群に明らかで、LPSによる抗原提示機能の増強などが考慮された。
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