研究課題/領域番号 |
10670686
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
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研究分担者 |
山森 伸二 日本光電工業(株), R & D センター, 課長
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (30249560)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | NADH / 冠微小循環 / 局所血流 / 代謝イメージング / マイクロストレイン / 分子トレーサ / 虚血 |
研究概要 |
本年度は冠微循環レベルでのNADH蛍光イメージの直接評価および分子血流トレーサを用いた毛細管血流分布計測を併せて行い、微小心筋虚血とミトコンドリア機能異常の空間的不均一性について解析した。NADH蛍光イメージシステムには、紫外光を励起光として蛍光(420〜570nm)を観測するCCD撮像素子(40万画素)蛍光システムを用いた。NADH動態が蛍光により簡便に観測でき、解像度が高く時間分解能がよい点に特色がある。また、毛細管血流分布計測には分子血流トレーサ(3H-Desmethylimipramine)を用い、空間分解能100μmでの血流分布イメージングを行った。本システムを用いてラット摘出潅流心において60秒間の低酸素(20%PO2)潅流液よる潅流を行い、NADH蛍光イメージを観測すると共に微小循環血流分布計測のために分子血流トレーサを併せて潅流した。実験の結果、低酸素潅流直後から心筋表面のNADH蛍光イメージはミトコンドリア内のNADHの量に応じて強度増加をみた。90秒後には、NADH蛍光強度の強い部分と弱い部分が混在する縞状パターン(サイズ:数100μm)が生じた。同時期に潅流した分子血流トレーサによって得られた血流分布にも空間的不均一性が観測され、個々の虚血のサイズは約数百μmであり、NADH蛍光異常のサイズと同程度であった。以上のことより、心筋虚血領域には血流分布とミトコンドリアの代謝機能異常の空間的不均一性がみられ、両者間には強い相関があることがわかった。
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