研究課題/領域番号 |
10670687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
池田 久雄 久留米大学, 医学部, 助教授 (50168134)
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研究分担者 |
鬼塚 一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (10289431)
室原 豊明 久留米大学, 循環器研究所, 講師 (90299503)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 血栓形成 / 血小板 / 白血球 / 血管内皮 / P-selectin / 内皮障害 / P-selectin中和抗体 / シアリルルイス糖鎖類似物 |
研究概要 |
今回我々は、生体内血栓形成過程の白血球、血小板、血管内皮の三者の相互作用やその動態における分子生物学的研究を行う目的で、ラットの血栓症モデル作成に取り組んだ。生体内顕微鏡を用い、特殊チャンバー内で麻酔下にラットの腸間膜動脈を露出し、ガラスマイクロピペットを使用して腸間膜動脈壁の外部より衝撃をあたえラット腸間膜細動脈の内皮障害を起こし、周期的血栓形成(CFVs)を呈するラット血栓症モデルの作成を試みた。しかし、手技が困難であることや再現性が乏しいことより従来の犬冠動脈血栓形成モデルを用いて、白血球、血小板および血管内皮の相互関係について研究した。これまで、P-selectin中和抗体(PB 1.3)やシアリルルイス糖鎖類似物(SLe^X-OS)投与にてCFVs過程が抑制されることより、活性化血小板表面に存在するP-selectinが血栓形成に重要な役割を果たすことが示唆された。今回犬冠動脈血栓症モデルにSLe^X-OSを投与すると、CFVs時に増加していた活性化血血小板上のP-selectinの発現や内皮障害部の血小板および白血球接着が有意に抑制された。また、CFVs部より遠位部において、白血球接着を伴った内皮傷害、内皮細胞上P-selectin発現増加および支配領域の心筋内P-selectin mRNAの増加が認められ、内皮機能も障害されていた。PB 1.3とSLe^X-OSの投与にて、CFVsに影響することなく血栓形成遠位部の内皮障害が改善した。SLe^X-OS投与では、CFVs部より遠位部における白血球接着を伴う内皮傷害や内皮細胞上P-selectin発現を抑制した。このように、P-selectinは、血栓形成のみならず、血栓形成遠位部の内皮障害にも関与していることが示唆された。以上より、細胞接着阻害薬は、血栓形成抑制と血栓形成時の内皮保護作用を認め、急性冠症候群の治療薬として期待できる。
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