研究概要 |
本年度は心不全モデルを確立し,ヒト心不におけるサイトカインの変化を検討したい。 実験1.高血圧性心不全モデルの確立。[目的]Dahl食塩感受性ラット(DS)に高食塩食を負荷するとうっ血性心不全を発症する。このモデルにおいて心不全では心筋交感神経β受容体(βAR)系のdown regulationが起こるか確かめるために以下の実験を行った。[方法・結果]DSに8週齢がら8%食塩食を負荷後有意に尾動脈圧が上昇し18週齢では213±18mmHgとなった。左室内径短縮率(%FS)は8%群の心不全期には低下した。左室重量/体重比は8%群に著明な心肥大を認めた血漿ノルアドレナリン(NE)濃度は8%群に有意に上昇を認め、左室βAR密度(Bmax)は8%群において有意に低下した。Forskolin刺激のAC活性も8%群において低下した.5型ACmRNA発現量も8%群に低下を認めた。一方、βARKlとGRK5量は心不全期に粗膜分画では減少し、細胞質分画では増加した。[総括]DS高血圧性心不全モデルにおいてβARにヒト心不全と同様の脱感竹が生じており、その下流のACの脱感作の関与も示唆され、βAR脱感作には複数のβARKアイソフォームの関与が推測された。 実験2.ヒト心不全におけるサイトカインの変化。[目的]ヒト心不全におけるサイトカインと血中NE濃度の変化を確かめるために以下の実験を行った。[方法]高血圧性心臓病、拡張型心筋症、肥大型心筋症で慢性心不全急性増悪にて入院した患者の血液を用いて、血中のNE,IL-2receptor,TNF-α,IL-6,CD4/CD8,ANP,BNP,IGF.1濃度を測定し、NYHAIIIとIVの群とIIの群に分けて比較検討した。[結果]血中NE,ANP,BNP,TNF-α,CD4/CD8はII群に比しIIIとIV群で高値を示し、一方、IGF-1は低値を示した。IL-2receptor,IL-6は両群間に有意差はなく、II群に非常な高値を示すものもあることより、原心疾患との関連が推測された
|