研究概要 |
本研究の当初の目的は以下の項目であった。1.血中ヒトキマーゼのWesternblotによる測定法や生化学的処理による活性測定法を開発。2.その結果と生検組織中のキマーゼ活性と比較することにより血中キマーゼ測定の是非を判定する。3.大量の検体処理の可能なラジオイミュノアッセイを開発。4.各疾患群(高血圧、虚血性心臓病、心筋疾患)の病期別のキマーゼレベルの変化を測定。5.血中キマーゼレベルと疾患別の関連を検索であった。この内、1.と2.は予定どうり終了したが、3.は^<125>I-ラベルのキマーゼが抗体と結合せず断念した。作成したキマーゼ特異的なモノクローナル及びポリクローナル抗体を用いてdouble sandwich ELISA法を確立した.この測定法を用いて種々の臨床検体を測定し、血中キマーゼ濃度は全身性炎症疾患(肺炎、自己免疫疾患等)で高値を示した。軽度の上昇は動脈硬化や虚血性心疾患等で観察され、血中キマーゼ濃度とCRPやフィブリノーゲンとの間には正相関が観察された。したがって、血中キマーゼ濃度は組織炎症の度合を反映するものと考えられた。これらの結果はExperimental Biology'99(Washington DC,USA)にて発表した。(Okamoto T & Urata H et al.Development and clinical application of ELISA for human chymase FASEB J13:A482,1999)現在論文投稿中である。今後は開発されたキマーゼ特異的ELISA法の感度を上昇させ、さらに広く臨床応用が可能になるようにしていきたい。
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