研究概要 |
(1)人どおしの接触が濃厚な、重症心身障害児施設において、患者および職員のヘリコバクターの抗体保有率を検討した。患者では、正常人に比較して抗体保有率が高く、より濃密は介護を要するものがより陽性率が高かった。従業員では抗体保有率が高くなかった。さらに、nested PCR法によって、唾液、歯垢中のへリコバクターDNAを、増幅同定することに成功した。現在仔の方法を用いて、さらに感染経路の解明を続行中である。 (2)ラット胃粘膜における、cyclooxygenaseの発現を発達学的に研究した。各週齢のラットの胃粘膜を摘出し、real time-PCR法を用いて、COX1,COX2のmRNAの発現を定量した。COX1の発現には、加齢による影響が顕著ではなかったが、COX2の発現は、加齢とともに減少する傾向があった。ndotoxinであるlipopolysaccharideを腹腔内に投与した場合、COX1の発現は影響を受けなかったが、COX2の発現は各週齢(1〜8週)のラットで有為に増加した。増加量は、新生仔ラットで最も大きかったが、増加率としては有為な差はみられなかった。すなわち、COX-2の発現は、基礎値として、幼若動物で高かったが、刺激による誘導にはあきらかな年齢差がみられなかった。
|