研究概要 |
福井医科大学小児科未熟児センターに入院した新生児仮死の16症例のうち生後0〜4ヶ月の時点でMRIにて脳室周囲白質軟化症(PVL)を認めた8症例と認めなかった8症例についてSIGNA HORIZON1.5Tを用いてfunctional MRIを行った。PVLを伴わなかった症例では生後1週から13週、PVLを伴った症例では6週から生後5年とfMRIの施行時期は遅かった。PVLを認めなかった8例のうち1例を除いてすべて早産低出生体重児である。すべての症例は親からインフォームド・コンセントを得てからfMRIを行った。また、ペントバルピツール3〜5mg/kgの静注によって鎮静した後,光刺激による視覚野の活性化を検討した。その結果PVLを伴わない症例の8例中6例で成人に見られる活性化のパターンと同じパターンがみられたが、これらの症例はすべて修正月齢7週以内であった。生後13週の2例では刺激によって還元型ヘモグロビンが上昇するパターンを示したが、これは成人の反応パターンと全くの逆のパターンであった。PVLを伴った症例では8例中6例で反応が見られなかった。残りの2例は成人と逆のパターンを示した。PVLを伴った症例のfMRIの反応がなかった6例では発達予後も悪く、全例に斜視などの視力障害が認められた。乳幼児の光刺激による視覚野活性化のパターンは生後2ヶ月から2〜3才の間は成人の反応と全く逆のパターンになることはすでに我々が世界に先駆けて報告したが、今回でも同じ結果が得られた。 また、fMRIの反応の見られなかった症例と予後とは密接に関係しており、fMRIは何らかの視覚機能の異常を検出できる検査法として臨床応用が可能であることが示唆された。
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