研究概要 |
In vivoにおいて,骨組織の血管内皮細胞が産生するエンドテリン-1(ET-1)の骨代謝調節機構を明らかにする目的で,8週齢のSDラット(♂)にET-1のA型受容体の阻害剤(FR139317,50mg/kg/日)とそのvehicleを2〜4週間投与(i.p.)し,腰椎骨塩量と骨代謝マーカーの変動を比較した。 A型受容体の阻害剤(FR139317)を慢性的に投与されたラットの腰椎骨増量は対照に比べて有意に低下していた。またこの変化は骨形成マーカーである血中オステオカルシン濃度の有意な低下を伴っていた(骨吸収マーカーである尿中コラゲンン架橋排泄には有意な変化はみられなかった)。以上の結果から,骨組織の血管内皮細胞が生理的に産生するET-1がラットの骨形成を促進し,骨発育を促す作用を有することがin vivoレベルではじめて証明された。 さらに,6週齢のSDラット(♂)の骨組織から微小血管内皮細胞を単離した。この細胞が構成的に一酸化窒素(NO)を産生することを蛍光マーカー(DAF-2)を用いて,リポ多糖(LPS)により誘導型NO合成酵素を発現することを培養液中のNO代謝物の測定により証明した。
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