研究概要 |
1, 白血病細胞株の抗CD95抗体添加による細胞死誘導に対する感受性とCD95受容体を介する細胞内シグナル伝達に関連する蛋白(Fas-associated phosphatase-1/FAP-1、Fas-associating protein with death domain/FADD、receptor-interacting protein/RIP)の発現を解析した。白血病細胞は、抗CD95抗体に感受性を示す細胞群と耐性を示す群に分けられた。細胞膜表面のCD95受容体の発現強度には、両群間に差は認められず、細胞死誘導に対する感受性とCD95受容体の発現強度との間には関連性は認められなかった。また、RT-PCR法による検索では、FADD、RIPは解析したすべての細胞株において発現していた。しかし、その過剰発現によりCD95受容体を介する細胞内シグナル伝達を抑制するとされているFAP-1の発現は、抗CD95抗体に感受性を示す細胞株、耐性を示す細胞株、ともに一部にしか発現しておらず、細胞死誘導に対する感受性との関連性が示唆された。 2, 白血病細胞における可溶性CD95variantの発現は、RT-PCR法を用いて解析を行った。その結果、本来の膜結合型のCD95受容体に加えて、約60ベースほどサイズの小さなPCR産物が認められ、CD95受容体の膜貫通部分をコードするエクソン6の欠損したCD95 variantであると考えられた。今後は、エクソン6のプローベを用いたサザンプロティングによりエクソン6の欠損していることを確認するとともに、細胞死誘導に対する感受性の有無とCD95 variantの発現強度との関連性を検索する予定である。
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