研究概要 |
1, 3カラー染色を用いたフローサイトメトリーにより、初発時、化学療法施行後に採取した神経芽腫症例(9例)の骨髄、および末梢血細胞から、CD45-/CD56+/CD9+の表面形質を示す腫瘍細胞の検出を行った。神経芽腫細胞は、病期3、4の進行例の初発時の骨髄、および末梢血中に検出され、サイトロジーからは陰性と判断された検体においても、腫瘍細胞の存在が確認された。本法により、化学療法の施行とともに次第に骨髄、末梢血中の腫瘍細胞が減少、消失する経過をモニターリングすることも可能であった。また、末梢血中の腫瘍細胞は、骨髄中の腫瘍細胞に比較して、化学療法の施行とともに早期に消失することより、自家幹細胞移植併用大量化学療法に用いる移植細胞としては、末梢血中の幹細胞の方が、腫瘍細胞の混入という観点からは優れているものと考えられた。今後は、さらに症例数を増して解析を行うとともに、再発例の早期診断における本注の有用性も検討する予定にしている。 2, 検出された骨髄中の腫瘍細胞を細胞ソーティングにより分離し、その細胞形態をサイトスピン標本を作製し検討した。分離された細胞は、粗なクロマチンと明瞭な1から2個の核小体を有し、細胞質内に顆粒は見られず、核/細胞質比の大きな、いわゆる神経芽細胞様の細胞形態を示していた。さらに、PCR法を用いてN-MYC遺伝子の増幅を解析し、細胞ソーティングにより分離された細胞が神経芽腫細胞であることの確認を行う予定にしている。
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