1.3カラー染色を用いたフローサイトメトリーにより、初発時に採取した神経芽腫症例の骨髄、および末梢血細胞から、CD45-/CD56+/CD9+の表面形質を示す腫瘍細胞の検出を行った。検出された骨髄中の腫瘍細胞を細胞ソーティングにより分離し、PCR法を用いてN-MYC遺伝子の増幅を解析した。その結果、骨髄中に検出された腫瘍細胞には、同症例の原発部腫瘍細胞と同程度のN-MYC遺伝子の増幅を認め、フローサイトメトリーにより検出される細胞群が神経芽腫細胞であることが確認された。 2.検索した進行期神経芽腫症例(9例)中の3例に骨髄再発が見られたが、全例において形態学的に再発が確認される2〜3ヶ月以前において、フローサイトメトリーによる検索で陽性所見が得られていた。この結果より、本法は神経芽腫骨髄再発の早期診断法として有用であることが示唆された。 3.神経芽腫症例(12例)の原発部腫瘍細胞のFas受容体、Bcl-2蛋白、P糖蛋白の発現をフローサイトメトリーにより検索した。Fas受容体は11例に発現が認められたが、その発現強度は様々であった。Bcl-2蛋白は全例陽性であり、その発現も比較的強かった。P糖蛋白は6例に陽性であったが、その発現は弱かった。今後は、神経芽腫に発現しているFas受容体、Bcl-2蛋白、P糖蛋白と、Fasリガンド、あるいは化学療法剤による細胞死誘導に対する感受性に関して検討を加えていく予定である。
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