ヒトナイーブT細胞のサイトカイン産生能獲得機構を明らかにする目的で、以下の実験を行った。 1) ヒト臍帯血よりナイーブCD4+T細胞を分離精製し、抗原刺激のない存在下でIL-7と培養し、これらの細胞が新しくIL-4、IL-5、IFN-γなどのサイトカイン産生能を獲得することを明らかにした。 2) また、IL4と培養した場合にはIFN-γの産生能は獲得されたが、IL-4、IL-5は産生しなかった。 3) 実験に用いたIL4とIL-7の濃度では、ナイーブT細胞の増殖は同程度であった。 4) このサイトカイン産生プロフィールの違いの原因を検索する目的で細胞表面マーカーの解析を行ったところ、IL-7によって誘導されたIL-4産生細胞は全てCD31陰性であった。 5) IL-4と培養した場合にはCD31陰性細胞は消失していた。 これらの事実は腸管の上皮細胞が恒常的にIL-7を発現している事を考慮すると、食事アレルゲンが最初に生体内に侵入してくる場所には、あらかじめIL-7でプライムされ、IL4を産生ずるようになったナイーブCD十T細胞が存在する事を示唆しており、食事アレルギーの発症病態を考える上で興味深い。
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