食物アレルギー発症のメカニズムを明らかにする目的で、腸管上皮に恒常的に発現しているIL-7がナイーブCD4^+T細胞の増殖分化に与える影響を検討した。IL-7、IL-4はヒト臍帯血CD4^+T細胞を抗原刺激の非存在下で増殖させ、IL-7はTh0タイプのサイトカイン産生能を、IL-4はTh1タイプのサイトカイン産生能のみを誘導し、IL-7によって誘導されるIL-4産生細胞はすべてCD31陰性であることを報告した。CD31陰性T細胞を臍帯血より分離し、IL-4とIL-7で培養したところIL-7はCD31陰性細胞を維持しこの分画にIL-4産生能を誘導した。IL-4はCD31陰性細胞にCD31を誘導する効果がありIL-4産生能は誘導されなかった。これらの結果よりCD31を介する刺激のIL-4産生能獲得に対する抑制的関与が示唆された。また、IL-4やIL-7により抗原刺激の非存在下でIFN-γ産生能を獲得したナイーブT細胞を用いてIFN-γ産生の分子機構を検討した。末梢血より樹立したTh1細胞クローンと比較し、抗原刺激の非存在下でIFN-γ産生能を獲得したT細胞のIFN-γ遺伝子上流域はメチル化されており、DNase I hypersensitivity assayでもTh1クローンのIFN-γ産生に使用されているプロモーター領域が使用されていない可能性が示唆された。従って、ヘルパーT細胞のIFN-γ産生の分子機構にはその分化様式に応じて多様性が認められた。 次に、食事アレルギー患者の末梢血より単核球を分離し該当抗原で刺激した培養上清中のサイトカインを測定することにより、末梢血中の食物抗原特異的T細胞の頻度とサイトカイン産生を検討した。この実験系では測定するサイトカインが微量のため、加える抗原の中に微量のエンドトキシンが混入していても測定系に影響を与えるため現在再検討中である。
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