研究課題
Carbohydrate-deficient glycoprotein症候群(以下CDGSと略す)の原因を巡って、この3年間大きな展開があった。この疾患の大部分をしめる。CDGStype I 患者は phosphomannomutase 酵素活性に欠陥がある可能性が1996年ベルギーのグループから発表された。我々は、1997年日本人患者培養線維芽細胞のドリコール脂質中間体の前駆体の形成をメタボリックラベルによって調べ、Dehydrodolicol reductase 活性が低い可能性を報告した。しかしながら、Phosphomannomutase 2 (PMM2)の遺伝子単離と患者での遺伝子変異の検索の結果、日本人患者も PMM2 遺伝子に欠陥があり、我々が見出した所見は二次的である可能性が示唆された。さらに1999年11月、第1回CDG症候群の国際シンポジュームがベルギーで開催され、CDG 症候群の原因遺伝子が6つ報告された。CDG症候群では血清の糖蛋白質の異常の報告しかない。我々は、リソソーム酵素に着目し、培養細胞中および培養液中に放出されるリソソーム酵素をウエスターンブロットで調べ、培養液中には異常な分画は認められない物の、細胞内βーヘキソサミニダーゼのプロセッシングに異常のあることを見出した。細胞内でもいくつかの糖蛋白質の糖鎖転移に異常があるものの、異常な糖鎖を持つ蛋白質の多くは分解されるか、不溶性となり検出出来ない可能性が示された。また、細胞内の糖蛋白質のプロセッシングの異常が神経症状と関与している可能性が示された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)