研究概要 |
今年度は以下の研究を行った。 1)10年度に引き続き申請者らが開発してきた尿GC/MS分析自動解析・診断システムを用い、アシルグリシン安定同位体希釈放でスクリーニングを行った。 2)皮膚線維芽細胞を行い10年度にイムノブロットでETF蛋白の欠損を確認した2例について、放射性同位体元素によるパルスラベリングーチェイス実験を行い、ETFαサブユニットとβサブユニット欠損をそれぞれ確認した。 3)遺伝子解析:皮膚線維芽細胞からRT-PCRによりETFαおよびβサブユニット遺伝子のcDNAを増幅しdirect sequenceを行った。1例にαサブユニット遺伝子764点変異(G→T,255glycine→valine,αG255V)が認められた。他1例ではβサブユニット遺伝子488点変異(C→T,154threonine→methionine,βT154M)。 3)脂肪酸β酸化能の検討 ^3H-ミリスチン酸、^3H-パルミチン酸の線維芽細胞の取り込みによる脂肪酸β酸化能の評価法を確立した。グルタル酸尿症2型4例について行い、新生児期発症がそれぞれ正常の5.3%と8.3%であり、他3例は40.0-68.5%,31.4-36.4%であった。 4)血液ろ紙を用いた血中遊離脂肪酸の分析方法を確立し、本症患者2例をテストしたところ、遊離脂肪酸のうち炭素鎖長C8,C10:1,C14:1のいずれも上昇することがわかった。 まとめ グルタル酸尿症2型のスクリーニング法として尿有機酸分析の自動解析・診断システム,アシルグリシン安定同位体希釈法、血液ろ紙を用いた血中遊離脂肪酸分析を開発し、確立した。 また、分子レベルの解析によって、日本初例となるαETF欠損症を同定し、世界3例目(2家系目)のβETF欠損症(日本と世界の2例目)を診断した。
|