研究課題/領域番号 |
10670737
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
杉本 徹 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90117888)
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研究分担者 |
黒田 啓史 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (10284837)
堀井 由博 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (30264378)
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キーワード | 神経芽腫 / 神経栄養因子 / TRK-A受容体 / TRK-B受容体 / 細胞シグナル伝達 / 増殖 / 分化 |
研究概要 |
現在まで、下記の神経芽腫(NB)の増殖と分化に果たす神経栄養因子の役割を検討した。 1. TRK family(TRK-AとTRK-B)受容体の発現: (1) NB細胞株(予後不良の患児より樹立)(n=20)と(2)NB腫瘍組織(n=20)で、TRK-AとTRK-B受容体の発現をNorthern法とRT-PCR法で検討した。 2. 神経栄養因子、TRK family受容体と細胞シグナル伝達: NB細胞株を神経栄養因子(NGF、BDNF、NT-3、NT-4/5)で処理し、TRK-AとTRK-B受容体を介する細胞シグナル伝達を検討した。 (1) NB細胞株を神経栄養因子で処理し、TRK-AとTRK-B受容体の発現の変化をRNAと蛋白レベルで検討した。 (2) TRK-AとTRK-B受容体の発現がみられた細胞株を用いて、TRK受容体のチロシン燐酸化、MAP kinase、PLC-γ、Shc、PI-3K、Crkなどの細胞シグナル伝達に関与する蛋白とその燐酸化を免疫沈降法とWestern法で検討した。 (3) 神経栄養因子のTRK-AとTRK-B受容体を介するシグナル伝達が、細胞核内に伝達されるか否かを初期遺伝子(c-fos)の発現(Norther法)で検討した。 (4) 予後良好のNB腫瘍組織の初代培養細胞で、神経栄養因子のTRK family受容体を介する細胞シグナル伝達を検討した。その結果、予後良好群(腫瘍組織)と不良群(細胞株)でのNB細胞のTRK family受容体を介する細胞シグナル伝達系の相違点が明らかとなった。 以上の結果、次の2点が明らかになった。(1)NBでのNGFまたはBDNFのシグナルは、TRK-AまたはTRK-B、Shc、ERK-1、ERK-2のチロシン燐酸化を介する経路で伝達される。(2)TRK-AはNBの分化に、TRK-Bは増殖に関係している。
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