研究課題/領域番号 |
10670737
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
杉本 徹 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (90117888)
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研究分担者 |
黒田 啓史 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (10284837)
堀井 由博 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (30264378)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 神経芽腫 / 神経栄養因子 / TRK family受容体 / シグナル伝達 / 増殖と分化 |
研究概要 |
ヒト神経芽腫(Neuroblastoma以下NB)は、神経冠由来の悪性腫瘍で、小児固形悪性腫瘍の中では最も頻度が高い。TRK family受容体(TRK-A、TRK-BとTRK-C)は神経栄養因子(Nerve growth factor:NGF、Brain-derived growth factor:BDNF、Neurotrophin-3:NT-3とNeurotrophin-4/5:NT-4/5)の受容体である。しかし、NBでのTRK family受容体と神経栄養因子の役割とそれらのシグナル伝達はよく分かっていない。そこで、今回1)TRK-Aと2)TRK-Bと神経栄養因子のシグナル伝達、NBの増殖・分化と病期(予後)との関係を検討した。 1.NBのTRK-Aを介するシグナル伝達系の解析: 1)NB株(n=4)では種々の段階でNGFのシグナル伝達が遮断されており、核内(c-fos)までシグナルが伝達されるNB株は少ない。 2)臨床NB組織(n=24)を用いたNGFのシグナル伝達では、早期病期(病期1と2)ではで13/14例(93%)でNGFのシグナルが伝達される。 3)一方、進行病期(病期3と4)では6/10例(60%)でシグナルが伝達され、早期病期症例に比較してNGFのシグナル伝達が遮断されにくいことが判明した。 2.NBのTRK-Bを介するシグナル伝達系の解析: 1)TRK-B発現陽性のMP-N-TS株を用いてそのグナル伝達を解析した。 2)シグナル伝達の解析では、BDNF、NT-3とNT-4/5により、TRK-B、Shc、ERK-1とERK-2などのシグナルが伝達蛋白のチロシン燐酸化が起こり、さらに核内(c-fos)までシグナルが伝達されることが判明した。 3)以上より、TRK-Bを介するシグナル伝達は、少なくともShcとMAP kinaseを介して、核内に伝達されることが判明した。 以上、NBでのTRK-ATとRK-B受容体とそれらのシグナル伝達の解析は、NBの予後を解明するのに役立つと考えられた。
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