研究概要 |
1.Cleavase fragment length polymorphism (CFLP)による遺伝子異常を1家系でスクリーニングできた.患児の弟は心電図異常はボーダーラインであったが,KVLQT1遺伝子のスクリーニングを行い,母・兄と同じ遺伝子異常を有することが判明した.また,他のQT延長の2家系およびQT延長児においても検討を行ったが、KVLQT1, HERGにおいては,現在のところチャネル異常は見いだされなかった. 2.MinK遺伝子にても検討をおこなったが、異常は見いだされなかった. 3.逆転写PCRにより各チャネル遺伝子の増幅が可能となると,KVLQT1, HERG, SCN5A, minK全てが1回のPCR産物の解析で可能となり,更なる解析の簡素化が可能である.しかし,末梢血リンパ球からのこれらの対象RNAは微量で,解析することができなかった.そこで,KVLQT1, HERG, SCN5A, minKそれぞれのチャネル遺伝子の逆転写反応用のプライマーをあらたにデザインし検討を行った.ボランティア健常人から得た末梢血リンパ球から抽出したtotal RNAを基に増幅を試みたが,やはりその増幅はできなかった.活性化されたリンパ球として川崎病急性期の検体を用いそのmRNAを用いた場合は増幅が可能であり,逆転写PCR法の応用には通常のリンパ球を用いるだけでなく,何らかの刺激を行いmRNA抽出を行なう等のアレンジの検討が必要と考えられた. 4.QT関連遺伝子は多くのエクソン,イントロンにより構成されており、CFLPだけではその全てをカバーすることは不可能である.そこで,CFLPで異常のホットポイントの多くをスクリーニングし異常がない症例で、直接シークエンス法で異常の検索を行ったが,異常は認められなかった. 5.今後,QT延長児における解析,逆転写反応の応用を更に進めてゆく予定である.また,CFLPスクリーニングと直接シークエンス法を組み合わせて遺伝子異常検索を行うことで,膨大な遺伝子異常の検討の簡素化が可能と考えられる.
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