研究概要 |
1. 臨床研究: 252人を対象に、肝静脈圧とATIII(antithrombin III),PI(alpha2-plasmin inhibitor)値を検討した。肝静脈圧正常値は、肝静脈圧ピーク値(HVp)は3±2mmHg、肝静脈圧平均値(HVm)は2±2mmHgで、+2sd以上を高値とし、HVp高値ではATIII値が有意に低値を示し、HVm高値では、ATIII,PIが有意に低値を示した。 Vitamin K依存蛋白であるProtein Cの検討は、臨床研究ではVitamin K摂取量をコントロールできないため、動物実験をおこなった。 2 動物実験モデル作製方法: 我々はratを用い肝静脈圧の上昇に伴うタンパク産生能の低下をmRNAレベルで証明するために実験モデルを作成した。実験モデルは8週250gのWister ratの雄を5匹使用した。うっ血肝の作製方法は、ratの尾静脈よりカニューレを挿入した。開腹し、腹腔内減圧処置を施し、外頚静脈に挿入したカテーテルから水柱計でSVC圧を観血的に測定しながら、尾静脈より低分子デキストラン10-15ml/h持続静注により容量負荷をかけてSVC圧を平均3cmH20に3時間保ちうっ血肝を作製した。3時間経過後ratの肝臓を摘出した。 3 RT-PCR法: 摘出したratの肝臓からGIBCO BRLのTRI zolを使用しmRNAを抽出しランダムプライマーによりcDNAに変換した。PloteinCのPCRのプライマーは先にOkafujiらに報告されている、ratのProtein Cの塩基配列からこの度我々が新たに作成したプライマーでProtein Cを検出した。実験当初、Protein Cに対するプライマーの作成に時間を要したが、現段階ではネステッドPCR法で確認済みのProtein Cに対するプライマーの作成に成功した。 4: 今後は、RT-PCR法により検出されたProtein CのcDNAの定量を行い、コントロール肝とうっ血肝のProtein Cの発現率の差異を検討していく予定である。その結果を研究成果として学会発表し論文として投稿する。
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