研究課題/領域番号 |
10670742
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴木 重雄 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00274960)
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研究分担者 |
川崎 幸彦 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00305369)
鈴木 順造 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20171217)
鈴木 仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045682)
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キーワード | ネフローゼ症候群 / IgA腎症 / 紫斑病性腎炎 / 肉眼的血尿 / 再発 / ウイルス感染 |
研究概要 |
私たちは、以命よりコクサッキーウイルスをマウスに投与することにより、IgA腎症類似の腎炎を惹起させうることを見いだし、腎炎の発症や増悪の機序の一つとしてのウィルス感染の重要性を報告してきた。一方、臨床面でもネフローゼ症候群やIgA腎症をはじめとした慢性腎炎の発症や再発、肉眼的血尿発作時においては、感冒が契機であることをよく経験する。そこで、今回は再発や血尿発作時に咽頭や便、血中単核球などからのウイルス分離同定を試みた。 ネフローゼ症候群:ステロイド反応性ネフローゼ症候群患児の延べ発症回数69回のうち、何らかの感冒症状が誘因となったのは30回、43.4%であった。このうち、咽頭や便などからウイルスを分離、同定できたのは5症例であった。 慢性腎炎:IgA腎症、紫斑病性腎炎症例の肉眼的血尿発作時に咽頭等からのウイルス分離を試みた。延べ17回の肉眼的血尿発作中、5症例でウイルスが分離同定できた。 ウイルスの種類:咽頭等から分離同定できたのは、インフルエンザウイルスA・B,アデノウイルスおよび水痘ウイルスなどであった。 また、血中単核球等からのウイルスの検出等は現在検索中である。 以上の結果から、ウイルス感染がネフローゼ症候群や慢性腎炎の発症や増悪に関与していることは明らかである。また、同一患児が感冒の度にネフローゼ症候群の再発を繰り返すなど、個人により感受性が大きく異なる結果も得た。ウイルス分離同定の時期や方法なども含め、ウイルス感染の感受性の差異などが今後の検討課題である。
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