研究概要 |
1)ヒト臍帯血造血前駆細胞の細胞周期の解析 LASERscanning cytometer(LSC)を用いてヒト臍帯血CD34陽性細胞の細胞周期の解析を行った。免疫磁気ビーズ法で臍帯血から濃縮単離したCD34陽性細胞をDNA染色をしてスライドグラス上に塗沫し細胞周期上の各相の比率を算出した。また同意の得られた正常成人骨髄細胞から単離したCD34陽性細胞についても,同様の検討を行い比較した. 臍帯血中のCD34陽性細胞では個体差がかなりみられたが,成人骨髄中のCD34陽性細胞と比較して,DNA合成期にある細胞の割合が高かった. 2)幼弱および加齢マウスにおける多能性幹細胞増殖動態の 解析 浸透圧ポンプを用いて1mg/kg/hrのBrdUrdをマウスに持続投与し,経時的に(2,4,6,8,12,16日)大腿骨から骨髄細胞を採取して一部を近紫外線照射し,多能性幹細胞を測定して,その減少率からその間にDNA合成を行った幹細胞・前駆細胞の比率を算出した.多能性幹細胞の測定はTillらの脾コロニー法(CFU-S)により行った.幼弱マウス(2カ月)では,未分化な造血幹細胞であるday8CFU-SでのDNA合成期の細胞が急激に増加した.一方,加齢マウス(22カ月)では,その増加はゆるやかであった.プラトーは,幼弱マウスでは52.6%,加齢マウスでは43.9%であった.やや分化した造血幹細胞であるday13CFU-SでDNA合成期の細胞の増加は,加齢マウスでは,幼弱マウスと比較してday8CFU-Sより,さらにゆるやかであった.しかしながら,プラトーレベルは同じ程度であった.
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