研究概要 |
本研究の目的は,血清中に含まれる未知の増殖因子の影響を除外できる無血清培養下において,マウストロンボポエチン(Tpo)の作用を決定するために,種々のマウスあるいはヒトサイトカインとともに培養しマウス未分化造血幹細胞および前駆細胞におよぼす影響を検討することである. リコンビナントマウスTpoにより巨核球コロニーの形成が可能であり,これはマウスIL-3,マウスSCFおよびヒトEpoとともに培養することにより相乗的に作用した.ヒトIL-6とIL-11およびマウスGM-CSFは血清の存在下でマウスTpoとともに相乗効果を認めたが,無血清下では相乗効果は認めなかった.マウスIL-3やSCFは大型コロニーや混合コロニーの増加を促進した.マウスTpoはGM-CSFによるGMコロニーやEpoによる赤芽球バーストの形成を増強した.マウスTpoはマウスSCFの存在下において,マウスIL-3とともに培養することによりhigh proliferative potential colony forming cell(HPP-CFC)を有意に増加させた. 無血清培養はマウス造血幹細胞および造血前駆細胞に対するTpoおよび他のサイトカインの相乗効果を検討することに有用であった.Tpoによる未分化造血幹細胞の増殖にはSCFが不可欠であった.
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