平成10年度はb型インフルエンザ菌(Hib)の多形性解析RFLPsに可能性のある各種分子疫学的解析法の至適化を試みた。パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法については泳動条件を主体に検討した。Smal消化後にHib菌は12-15の制限酵素切断断片となり、RFLPs解析をするのに十分な情報量が得られた。LA_PCR法では非莢膜型で開発されたについても複数の制限酵素で検討を行い遺伝的多型性の出やすく、バンドの認識のしやすい条件の検討を行った。しかし、非莢膜型で見られたような多型性はHibでは見られなかった。3.randomly amplified polymorphic DNA(RAPD)解析ではprimerのデザインの改良とともに温度勾配の検討を行い、至適温度条件の検討を行った。比較的生物型に特徴的なバンドの検出に成功し、PFGE-RFLPs法ほどでは無いが、ある程度の有用性は持たせることが出来た。平成11年度はおもに髄膜炎症例より分離されたインフルエンザ菌の各種分子疫学的解析を行い得られた各種遺伝的多型性解析の結果をコンピュータによる遺伝的系統樹dendrogram作成解析プログラムを作成した。PFGE法で千葉・神奈川・東京・愛知より分離された約30株の検討結果、いくつかの地域間での分離菌に特徴がみられ、今後の耐性菌に対する疫学解析の基礎が築かれた。検討結果は国際誌に掲載された。
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