β-ヘキソースアミニダーゼ・βサブユニット遺伝子は、GM2-ガングリオシドーシスO型の原因遺伝子として知られている。β-ヘキソースアミニダーゼAはαサブユニットとβサブユニットとの二量体であり、β-ヘキソースアミニダーゼBはβサブユニットが2つからなる二量体である。我々は今までに、日本人のβサブユニットの遺伝子異常の中で、Kl21Rは日本人に見られるpolymorphysmであり、P417LとK121Rのdouble mutationではβ-ヘキソースアミニダーゼB活性がわずかに低下し、P417L、K121R、S255Rのtriplemutationではβ-ヘキソースアミニダーゼB活性が著明に低下することを明らかにした。これらの結果より、S255Rの存在するエクソン6付近は、基質結合部位あるいは二量体形成部位としてβ-ヘキソースアミニダーゼB活性に重要な部位であると推測され、さらに、P417Lの存在するエクソン11付近は、β-ヘキソースアミニダーゼB活性に影響しないことから基質結合部位あるいは二量体形成部位のどちらでもないと推測される。そこで、正常およびdouble mutation、triple mutationをそれぞれ持つcDNAの発現ベクターを作成し、正常のαサブユニットのみを産生しβサブユニットは全く産生しない培養線維芽細胞中または、正常のβサブユニットのみを産生しαサブユニットは全く産生しない培養線維芽細胞中でこれらの発現ベクターをそれぞれ発現させ、β-ヘキソースアミニダーゼAおよびB活性の変化を見ることによりこれらの点変異が二量体形成に及ぼす影響を検討する予定である。 今年度は、正常およびP417LとK121Rのdouble mutation、P417L、K121R、S255Rのtriple mutationを持っcDNAの発現ベクターを各々作成した。
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