研究課題/領域番号 |
10670752
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
白石 裕比湖 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40187521)
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研究分担者 |
菊池 豊 自治医科大学, 医学部, 講師 (90260835)
保科 優 自治医科大学, 医学部, 助手 (20291635)
市橋 光 自治医科大学, 医学部, 講師 (70213006)
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キーワード | 胎児 / 循環 / 緬羊 / 胎児仮死 / 一酸化窒素 / 胎仔 |
研究概要 |
胎児の徐脈性不整脈である完全房室ブロックは、膠原病母体の胎児に多く発生し、胎児水腫や胎児死亡を来す重症な疾患である。しかし、その病態解明は不十分で胎内での治療法は確立していない。 この疾患の病態を明らかにし治療法を探る目的で綿羊胎仔を開胸して房室結節に対する冷凍凝固により胎仔の完全房室ブロックを作製した。次いで左室と右室を別々にペーシングした時の心電図と血行動態(左右の心拍出量)の違いを明らかにし、胎内でこの疾患に対する治療法の可能性について明らかにした。 妊娠緬羊胎仔に作製した完全房室ブロックについて150/分で心室ペーシングすると1)心電図QRS幅は、完全房室ブロックをペーシングした際に右室ペーシング時には左室ペーシング時よりも幅広く、2)心拍出量は、完全房室ブロックを心室ペーシングしても冷凍凝固前の約70%まで低下していた。胎仔の左右心拍出量は、右室ペーシング時には左室ペーシング時よりもさらに低下していた。 胎児の完全房室ブロック時には胎児の心拍出量の減少が胎盤循環の減少につながり、これが胎児の生命予後に悪影響を来たす、すなわち胎児の完全房室ブロックでは心拍出量の減少によって胎児の心不全や胎児死亡の原因となりうる。また胎児の完全房室ブロックでは心臓ペースメーカーによる胎内心室ペーシングする際に右室ペーシングよりも左室ペーシングが心電図、心拍出量の点から優れていると判明した。
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