研究概要 |
本研究の目的は、気道炎症、気道障害の一病態である気管支喘息において、上皮特異的作用や臓器障害後の修復因子として注目される細胞増殖因子keratinocyte growth factor(KGF),hepatocyte growth factor(HGF)の作用およびステロイド(デキサメサゾン)との相互作用に関して、また、acute respiratory distress syndrome(ARDS)や喘息の治療への応用が試みられ、感染防御機能や抗炎症作用として注目されているサーファクタント関連蛋白(SP-A,B,C,D)との相互作用について検討を加えることにある。昨年度は研究実施計画に基づき、喘息モデルラットの作製とデキサメサゾンの培養胎児肺への効果をみた。研究最終年度となる本年は、培養液中に加えたレチノイン酸,ビタミンA(all-trans,9-cis retinoic acid)の単独での効果とデキサメサゾンとの相互作用について培養胎児肺でのSP-A,B,CとKGF,HGFの発現をみた。all-trans retinoic acid 10^<-7>〜10^<-5>の濃度において単独では10^<-5>の濃度にて末梢肺胞の軽度の拡張が認められた。デキサメサゾンとの相互作用においてはレチノイン酸は胎生後期における胎児培養肺のデキサメサゾンによる形態学的効果を抑制し、Nothern blot法による解析では、デキサメサゾンによるKGFの増強効果とHGFの減弱効果をさらに強め、SP-A,B,C,CC-10の増強を抑制した。また、予備実験として行ったアスコルビン酸、ビタミンCは臨床的に運動誘発性喘息(EIA)を抑制する可能性が示唆された。
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