研究概要 |
Fanconi貧血の移植前処置法の検討/Fludarabineに対する染色体脆弱試験 FludarabineはAra-Aにふっ素を導入しさらにリン酸エステル化した薬剤でnonmyeloablative stem cell transplantationとして注目を浴びている。 【目的】Fanconi貧血患者のfludarabineに対する染色体断裂の重症度とMTT法を用いた細胞増殖能を測定し,同薬剤が移植前処置に使用可能か否かを検討した.【方法】Fanconi貧血患者3例と健常成人3例のPHA刺激下末梢血リンパ球のCY血清,Ara-C,fludarabine添加による染色体断裂の重症度を検討した.同じリンパ球に上記薬剤を加えてMTT法にて細胞増殖能を測定した.【結果】FA患者ではCY濃度依存性に断裂も増加し個体差も大きいが,健常人では濃度に関係なく断裂はみられない.Ara-C処理ではFA患者,健常人ともにAra-Cの濃度依存性に断裂は増加するがFA患者では回復は遅く,48時間後でも断裂の増加を示すものもあった.しかし,fludarabine処理ではFA患者,健常人ともに濃度に関係なく断裂はほとんどみられず,MTT法でも細胞増殖能は健常人と差を認めなかった.【考察】FA患者の非血縁造血細胞移植の前処置として,Ara-Cとともにfludarabineは有用な薬剤であることが示唆された.
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