研究概要 |
Fludarabineを前処置用いたFanconi貧血の同種骨髄移植 FludarabineはAra-Aにふっ素を導入しさらにリン酸エステル化した薬剤でnonmyeloablative stem cell transplantationとして注目を浴びている。 【目的】Fanconi貧血患者のfludarabineに対する染色体断裂の重症度とMTT法を用いた細胞増殖能を測定し,同薬剤が移植前処置に使用可能か否かを検討した後、移植前処置として用いた。【方法】 Fanconi貧血患者のPHA刺激下末梢血リンパ球のCY血清,Ara-C,fludarabine添加による染色体断裂の重症度を検討した.同じリンパ球に上記薬剤を加えてMTT法にて細胞増殖能を測定した.【結果】 fludarabine処理ではFA患者,健常人ともに濃度に関係なく断裂はほとんどみられず,MTT法でも細胞増殖能は健常人と差を認めなかった.【症例1】8歳女児。移植前処置としてFlu30mg/m^2X6、CY10mg/kgX4、ATG2.5mg/kgX4を投与し、HLA一致の兄より6.3X10^8/kgの骨髄有核細胞を移植した。前処置の毒性としては軽度の粘膜障害を認めたのみであった。GVHD予防はCsAのみで行い、急性GVHDはgrade0で、速やかな生着が得られた。【症例2】2歳男児。移植前処置としてTAI3Gy、Flu30mg/m^2X6、CY10mg/kgX4、ATG2.5mg/kgX4を投与し、HLA一致の非血縁ドナーより6.3X10^8/kgの骨髄有核細胞を移植した。薬剤毒性、急性GVHDともに軽度で生着は速やかに得られた。【考察】Fanconi貧血に対する骨髄移植では2次性発癌を考慮すると放射線非照射でかつ必要最小量のCY投与が望ましく、Fluは毒性も少ないうえに、免疫抑制効果も十分期待できた。
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