研究課題/領域番号 |
10670760
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
矢部 みはる 東海大学, 医学部, 講師 (40172514)
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研究分担者 |
服部 欽哉 東海大学, 医学部, 助手 (50276820)
矢部 普正 東海大学, 医学部, 講師 (70220217)
加藤 俊一 東海大学, 医学部, 助教授 (70096212)
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キーワード | Fanconi貧血 / MDS / 骨髄移植 / 前処置 / fludarabine / Ara-C |
研究概要 |
造血幹細胞移植を行ったMDS・白血病化Fanconi貧血13症例の検討 年齢は5歳から28歳で、すでに急性骨髄性白血病を発症している者が4名みられた。(FAB分類:M0:1名、M1:2名、M5:1名)男女差はなく、1例を除き、全例に骨髄染色体分析で核型異常を認めた。7番と1番染色体に関係した異常が多かった。 HLA一致の同胞間移植は3例で(うち1例は臍帯血移植)、7例がHLA不一致の血縁、3例が非血縁者からの移植であった。移植前処置は以下の通りに行った。9例に6Gy以上の全身照射と染色体断裂の重症度に応じた至適CY投与(20-120mg/kg)に抗リンパ球グロブリンを加えた。うち3例は大量Ara-C(12-18g/m^2)を併用した。ほかの4例は4.5Gyの全身照射に染色体断裂の重症度とは関係なく少量CY(40mg/kg)にfludarabine(180mg/m^2)と抗リンパ球グロブリンを加えた。 GVHD予防はCyAに短期MTXあるいはT細胞除去を行った症例が5例、CD34陽性細胞選択移植例が5例、FK506の持続点滴に短期MTXを併用した例が4例であった。CD34陽性細胞選択移植の3例(早期拒絶)およびCY減量の1例(晩期拒絶)の計4例に拒絶がみられ、うち1例のみが再移植にて生存している。CD34陽性細胞選択移植例の2例は移植後1年以上を経て、原疾患の再発を来たし死亡した。II度以上の急性GVHDが4例にみられたが、2例はステロイド投与で軽快し、2例は拒絶に伴う合併症で死亡した。移植後5ケ月から1年を経過し、13例中8例が生存している。移植前処置に用いる薬剤として、CYはFanconi貧血患者では細胞毒性が高く、大量に使用することは不可能であり、また二次性発癌にもつながる問題がある。今回検討を行ったAra-Cとfludarabineの2薬剤では細胞毒性も比較的軽度であり、前処置薬剤として十分使用が可能と思われる。
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