研究概要 |
3歳以下に発生頻度ピークの小児期発症重症筋無力症(MG)は、70%以上が潜在性全身(LG)型と考えられる特異的臨床症状を認める.LG型において血中抗AChR抗体値は陰性あるいは低値を示した.また、自己免疫疾患発症と強い関連を認めることが多いHLA-Dタイプにおいて、HLA-DR1^*0901-DQB1^*0302-DQA1^*0101,DRB1^*1302-DQA1^*0301-DQB1^*0604,あるいはこれらのへテロアリルが高頻度に認められ、ー方成人G型MGにおいてHLA-Dタイプ有意な関係は明らかでない.AChR応答T細胞が発症に重要であるため、小児期MG・LG型はAChR抗原分子内ユニークT細胞抗原エピートープを認識すると考えられた.小児期MG・LG型患者末梢血単核球をAChR抗原α鎖分子、IL2およびIL4刺激培養、3〜4週間培養にてCD4+AChR高応答性細胞ライン4例(全例、HLA-DR9,13)(S.I.>10)を確立した。CD4+AChR抗原高応答細胞ラインからRT-PCR法を用いTCRVβレパトリーおよび産生リンホカインレパトリーの検討を行った。コントロールとして成人G型MG(血中抗AChR抗体、HLA-DR4,15)患者からCD4+AChR応答細胞ラインを作製した.成人発症G型MGにおいてVβ 2、6.1、7、13.2または15クローンの拡大、一方、小児期発症MG・LG型においてVβ 2、3、6.1、7、10、14または17クローンの拡大が認められた。同じあるいは違うVβクローンの拡大が認められた。また、産生リンホカインレパトリーの検討から成人発症G型MGにおいてTH2一様細胞の増加、小児期発症MG・LG型においてはTH1一様細胞の増加が認められた.Vβレパトリーにおいて同じVβクローンの拡大が認められ、DRハプロタイプの相違を考慮すると、成人発症タイプと小児期発症MG・LG型は異なったAChR抗原α鎖分子ペプチドを認識する可能性が示唆された。小児期発症MG・LG型の病因の解明はセロネガチブの自己免疫疾患の病因の解析に役立つと考えられた。
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