研究概要 |
Anthracyclineによるapoptosisの誘導機構、決定機構および制御機構、また、apoptpsisの実行機構など心筋細胞のapoptpsisに至るまでの情報伝達経路の全容は未だ明らかにされていない.我々は心筋細胞のapoptpsisに交感神経系の関与があるのではないか、つまり交感神経支配を受けることにより神経成長因子などの増殖因子の働きによりapoptpsisは起こりにくくなるのではないかとの仮説を持ちその解明を行っている. 実験動物:生後1日目のラット新生仔(未だ交感神経の支配を受けていない) 実験方法および現在までの結果:心筋細胞培養および交感神経節との混合培養:ラット新生仔より心室を摘出し、心筋細胞を分離し、37℃、950/1O2,50/1CO2下にて培養した.また、交感神経節・心筋細胞との混合培養は、ラット新生仔の頚部交感神経節を摘出し、少量の培養液とともに培養孵卵器内にて約30分間培養する.その後、分離し、細胞数を1×105個/(培養液1ml)に調整した心筋細胞を同培養ディッシュに移し、混合培養をした.培養心筋細胞は培養3日目には心筋細胞が互いにconfluentとなり、拍動が認められ、また混合培養では同様に培養3日目には交感神経節よりaxonが伸び、いくつかの心筋細胞との間に神経・筋接合が完成した.位相差顕微鏡によるapoptpsisの検討:心筋単独培養細胞、および混合培養細胞にAnthracyclineであるアクチノマイシンDを1μg/(培養液1ml)の濃度で添加し、添加4時間後より1時間毎経時的に位相差顕微鏡を用いてapoptpsisをおこしている細胞の割合を測定し、コントロールとしてアクチノマイシンD無添加の心筋培養細胞、混合培養細胞を用いて比較検討した.現在までの結果では心筋細胞単独の方が交感神経節との混合培養された心筋細胞よりもapoptosisを起こしやすい傾向にあることが確かめられた.さらに研究を進めているところである.
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