研究課題/領域番号 |
10670773
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
目野 貴子 久留米大学, 医学部, 助手 (20268874)
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研究分担者 |
元山 浩貴 久留米大学, 医学部, 助手 (30268883)
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キーワード | Reflux nephropathy / Iutrarenal reflux / 膀胱尿管逆流現象 / RI-VCG / カラードプラ |
研究概要 |
逆流性腎症(RN)は、小児のみならず成人も含め末期腎不全をきたす腎尿路系疾患として重要である。RNの発症・進展因子として、尿路感染症や尿の腎内逆流(IRR)が問題となっており、膀胱尿管逆流現象(VUR)とRNとの関わりが予想されてきた。 本研究ではVURの患者(n=23)において、RI-VCGを用い各腎臓におけるIRRを検出し、VURの国際分類のgradeと比較した。また、RNの検索目的にて、これらの患者にIVP、超音波検査、CT、DMSA検査を施行した。VURのgradeではI度1/4、II度4/6、III度7/7、IV度4/4、V度1/2にRNを認めた。一方、VURのウロダイナミクスをカラードプラエコー(Quantum2000)を用い検討した。特に、VURの際の尿の膀胱から下部尿管・上部尿管から腎盂内への逆流、尿管内での尿の動きなどを検討した。 結果として、VURの患者では、IRRはRN発症に強く影響し、特にVURのgradeが高いほどRNを高頻度で発症している可能性が示唆された。また、逆にVUR軽症例でも、経時的に観察するなかでRNを発症した症例も認めた。以上よりRN発症予防のために行うVUR防止術の既存の手術適応基準が必ずしも絶対的ではないことが確認された。一方、カラードプラによる尿の腎盂内でのウロダイナミクスも検討したが、その結果をIRRのウロダイナミスに結びつけることが時間的に難しかった。 今後の課題として、今回検討し得たVURとIRR、それに伴うRNの発症と、腎盂内での尿のウロダイナミクスつまり尿の流速、尿圧などの詳細なデータを検討してゆくことがあげられる。本研究を発展させ、客観的なVURの手術適応のガイドラインを作成することは、VURによるRN発症、さらには腎不全の予防に有用で、現在の保存期あるいは末期腎不全患者への健康保険の支出の軽減にも大きく寄与すると考える。
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