研究概要 |
我々は、これまでに培養ヒト樹状細胞がニッケル、DNCBなどのハプテン刺激により活性化しその抗原提示活性を増強させることを試験管内の実験から明らかにしてきた.昨年度は、さらにハプテンとしてdinitrofluorebonzen, oxazolone、ハプテン以外の物質としてMn,Co,Cr,Cdなどの金属を用いてどの様な物理化学的特性がある物質が樹状細胞を活性化させる特性を有しているか検討した。その結果、ハプテンと分類される物質には、強度の差は存在するものの樹状細胞を活性化する作用が存在すること、また、ハプテン以外では種々の金属により同様の現象が誘導できることを明らかにした。また,特に、NiとCoには、樹状細胞にアポトーシスを誘導する作用が存在することも明らかにした。また、末梢血単球を培養する際に、GM-CSF+lL-4、M-CSF、GM-CSF、M-CSF+lL-4の4種の組み合わせでサイトカインを添加し、樹状細胞と3種類のマクロファージを誘導した。そして、それらの細胞に化学物質を添加し、CD86の発現を観察したところ、GM-CSF+lL-4で塔養し樹状細胞に分化した細胞のみが化学物質に反応してCD86分子の発現を増強することを見いだした。今年度は、それに加えて、樹状細胞に化学物質を加えた時の細胞内signal transductionを検討し、DNC8による樹状細胞の活性化にp38 MAP kinaseが重要な役割を果たし、Niによる活性化にはp38 MAP kianse以外の刺激を介してNF-kBが活性化していることを明らかにした。以上の研究によリ、樹状細胞がそれ単独で化学物質に反応して抗原提示活性を増強すること、その活性は樹状細胞に特徴的反応で有ること、また、それらが細胞内のp38 MAP kinase、NF-kBを介して行われていることが明らかとなった。
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