IL-8関連蛋白である白血球走化因子MCP-1(monocyte chemoattractant protein)、gro-aを過剰発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作成し、MCP-1トランスジェニックマウスに、多数の真皮ランゲルハンス細胞(LC)の浸潤を、またGro-aマウスの新生児皮膚で毛疱周囲に白血球の浸潤を報告している。今回さらにアレルゲン(TNCB)、lipoplysaccharide、スーパー抗原(streptococcus)などの刺激を加えて、免疫担当細胞の機能について検討した。k14/MCP-1TgマウスからLCを採取し、in vitroでスーパー抗原SEB(10ng/ml)を加えて培養した後、5日目に培養上清中のサイトカイン量について検討した。培養上清中に含まれるTNF-aはそれぞれ17.8ng/ml、29.0ng/mlであり、MCP-1マウスのLCの培養中に有意なTNF-aの増加傾向を認めた。K14/gro-aTgマウスで背部に創傷を作成し、その後の上皮形成過程を検討した。 K14/gro-aTgマウスで、創傷7日目に組織学的に多核白血球の表皮内浸潤を認め、さらに28日目には一部で表皮下層に多核白血球の集塊を認めた。ワイルドマウスでは表皮内への好中球浸潤は認めなかった。以上の結果は皮膚創傷後にgro-aが表皮への白血球の浸潤に重要であることを示している。またlipoplysaccharide投与群ではgro-aマウスで過剰な炎症反応が誘導された。以上からこれらのIL-8ケモカインを過剰発現するマウスでは、種々の刺激に対して過剰な免疫反応が誘導され、容易に白血球浸潤が誘導されるマウスであると考えられた。
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