皮膚における免疫担当細胞として、ランゲルハンス細胞(LC)、肥満細胞、マクロファージ、T細胞などが含まれる。これまで、MCP(monocyte chemoattractant protein)-1トランスジェニック(Tg)マウスの皮膚において樹状細胞の浸潤について検討してきた。本研究においては、MCP-1TgマウスにおいてLCを採取し、lipopolysaccharide、スーパ抗原にて培養し、培養液中のサイトカインの産生量について検討しTNF-α産生量増加を認めた。次に、T細胞増殖因子であるIL-7を導入したIL-7Tgマウスを用いて表皮、真皮内樹状T細胞について検討した。IL-7Tgマウスでは背部に皮膚炎を生じ、これらの炎症皮膚病変には、表皮、真皮に樹状T細胞の浸潤を認めた。この浸潤細胞は、αβTCR、γδTCR陽性樹状細胞であり、そのレパートアから、heterogenousな集団からなる細胞であった。またワイルドタイプマウスで、このような表皮樹状細胞がIL-12とIL-18などのサイトカインによって、表皮でIFN-γを産生することを見いだした。次にマウス皮膚における抗原提示細胞として重要なLCに関して、培養したLCでは、接着分子であるCD40 ligandが存在することを発見した。培養LC表面上に存在するCD40Lの存在は、LCの免疫抗原提示に強く関与することが示された。本研究を通じて、マウス皮膚における樹状細胞、樹状T細胞の接着分子の性状、サイトカインの産生能、さらにこれらに対する種々の刺激作用のメカニズムが明らかにされたと思われる。表皮、真皮に存在する表皮樹状T細胞についてもIL-7などのサイトカインの影響下に、T細胞が増殖することが明らかとされた。このような変化は、皮膚局所における炎症によって、浸潤細胞が組織内で常に変化(分化、成熟)することを示しており、今後皮膚炎を司るサイトカインや接着分子を対象とした治療法につながるものではないかと考えられる。
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