研究概要 |
マウスにおける接触過敏症誘導でのIL-41L-13などのTh2サイトカインの役割はまだ明らかにされていない。今回、IL-4,IL-13のシグナル伝達に必要なSTAT6欠損マウスを用いて接触過敏症におけるIL-4,IL-13の役割を検討した。マウス接触過敏症にSTAT6シグナルが関与するかどうかを明らかにするため種々のハプテンを用いてSTAT6欠損マウスに経皮感作した後耳介に惹起した。TNCB,Oxaでは全体的に耳介腫脹反応が減弱し72時間後をピークとする反応が認められた。DNFBではSTAT6欠損マウスでは耳介腫脹反応は非常に減弱していた。このことより、接触過敏症ではハプテシにかかわらずSTAT6シグナルが必要であることがわかった。次に、刺激皮膚炎においてSTAT6が必要であるかを検討した。1%クロトン油を耳介に塗布した時は24時間後には欠損マウスでは減弱の傾向にあったが48時間後にはむしろ亢進していた。100%クロトン油では差が認められなかった。このことより刺激皮膚炎ではSTAT6シグナルは関与しないと考えられた。さらに、sheepの赤血球を皮下に投与することにより遅発反応を誘導した。6日後に足底にSRBCで惹起した。STAT6欠損マウスとワイルドタイプの間に有意差は見られなかった。このことよりDTHではSTAT6シグナルは必要ないと考えられた。 以上、接触過敏症の誘導にのみSTAT6が重要な役割を果たし、刺激反応、DTHでは関与しないことより表皮の免疫担当細胞の検討をした。epidermal sheetを作成して表皮中のランゲルハンス細胞、Thy1DECのポピュレーションを検討したがSTAT6欠損マウスとワイルドタイプとの間に有意差は見られなかった。さらに、ランゲルハンス細胞を12時間培養した後の表面マーカーを検討したが、CD80の発現が軽度増強しているのみであった。STAT6シグナルは接触過敏症誘導に必要なシグナルだがどの因子の誘導に関与しているか検討が必要である。
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