研究課題/領域番号 |
10670783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
諸橋 正昭 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018719)
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研究分担者 |
豊田 雅彦 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (00251885)
大津山 寳 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (10213787)
松井 千尋 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (10181679)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | Brdu / 表皮シート / 幹細胞 / 紫外線 |
研究概要 |
本研究は大きく3つのステップに分かれている。 1)組織で細胞の動態を2次元的に観察する。2)表皮細胞の中の幹細胞やtransit amplifying cellの動態を追跡するための指標を検討する。3)表皮組織にDNA障害刺激を加え、それによって引き起こされる細胞動態の変化を観察する。第1のステップには標本の基底膜構成蛋白に及ぶダメージを最小限にして表皮シートを作成する処置が必要であった。これに適した条件は小沼らの論文に示したように1MNaBr加PBS浸漬 37℃1時間で、得られた表皮シートで表皮幹細胞のマーカーとされているケラチン19とβ1インテグリンの発現を検討した。毛包に部分的な発現を見たものの毛包間表皮ではほとんど発現が確認できなかった。第2のステップに使用する良い指標が得られなかったが「幹細胞は長期間分裂をしない細胞である。」という定義に基づき検討を進めることにした。すなわち創傷の際には、通常と異なり幹細胞の細胞分裂およびDNA合成が亢進すると考えられ、幹細胞を含むDNA合成亢進細胞の動態を調べることを目的としてBrdu標識を用いて観察した。その結果DNA合成亢進細胞は創周辺ほど密に存在していたが一定の法則は見出せなかった。第3のステップとして、細胞への障害としては軽微だがDNAに障害を引き起こす刺激を広く加える事を試みた。すなわち幹細胞、TA細胞では周囲の細胞障害に反応してDNA修復のほかに細胞分裂が亢進し、それ以外の細胞ではDNA修復のみが起こると考え、紫外線照射(UVB)やDMBA(発癌プロモーター)塗布とBrdu標識を用いて検討した。特にUVB照射は照射量、照射からBrdu標識までの時間について条件を検討したが、表皮基底層細胞核のBrdu標識の濃淡には規則的配列を見出せなかった。これまでの結果では表皮幹細胞を直接検出するためのマーカーが選択できず、幹細胞の動態を検討するという当初の目標は果たせなかったが表皮シートを用いることにより細胞の動態を2次元的に検討するという新しい研究手法が確立できた。この方法にレーザー共焦点顕微鏡の併用やディスパーゼ処理などの緩徐な条件での表皮シート作成を用いることでより生体に近い情報が増えると考えている。以上表皮での角化細胞の動態をモニターするための新しい手法は確立できたという点で本研究は有意義であった。
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