研究概要 |
臨床的にはpiebaldismにおける表皮移植後に色素拡大現象が見られること、色素拡大部ではそれまで見られなかったメラノサイトが遊走しているのが見られることを報告した。また同時に皮膚移植前には白毛であった病変部の毛が移植後に黒色化し、メラノサイトが遊走していることを見い出した(Pigment Cell Res,in press)。これらのことよりin vivoでメラノサイトは水平方向のみならず毛包に向かって垂直方向にも遊走することが確認できた。In vitroではrasを導入したメラノサイトでは細胞遊走能が亢進することを見い出した(Pigment Cell Res,11:182,1998)。またendothelin-3はメラノサイト、母斑細胞およびメラノーマの遊走を促進することを報告した(J Derm Sci,16sl:s103,1998)。これらのことより細胞外刺激や細胞内刺激伝達系の亢進によりメラノサイトの遊走を制御できる可能性が示唆された。一方、melanomaやmelanocyteの細胞内のメラノソーム輸送に重要であると考えられるrab3Aについて検討し、メラノソームにrab3A,rabphillin3が局在することを見い出し報告した(J Derm Sci,16sl:s100)。 すなわちメラノサイト自身の遊走だけではなくメラノサイトの細胞内の小胞輸送についても新知見を得た。一方、巨大メラノソームが見られたHermansky-Pudlak症候群のメラノサイトを培養し巨大メラノソームが見られることを報告した(Pigment Ce11 Res,11:393,1998)。
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